創書日和「星」 万華鏡/士狼(銀)
一度しか逢えないなら
失くしてしまったって一緒だ
視線を外すと
こんなにもぼやけてしまう世界で
二人で夜を歩くとき
星屑の欠片を拾い集めては
ブリキの缶詰にしまっておいた
この☆は蠍の毒針だねって
この★は蜥蜴の眼だねって
いつ忘れたっていいように
朝色の付箋をつけて
この★は白鳥の翼だねって
この☆は狼の犬歯だねって
一人になって
指先が錆ついてしまって
取り出し口が分からないから
缶切りで底を切り取って
屑籠で光っていた硝子の破片を宛がうと
綺麗に繕われたような気がして
割れた鏡を敷き詰めて
覗きこんだら
こんなにも冴え冴えとした世界が
幾重にも重なっている
一度しか逢えないから
美しく見えるのかもしれない
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