創書日和「星」/虹村 凌
をして」
真っ黒に塗れて光る髪の毛をそのままに
ゴール線上で転んだまま寝物語をせがむ
下手糞な寝物語にいちいち突っ込みながら
少しずつ物語を進めていく
彼女はうとうとしながら
それでも聞き耳を立てている
眠りそうになりながら
それでも気になれば必ず聞く
話は少しずつ逸れて行って
一番星の話は何時しか
幾千億年遠くから来た昔の光や
その色
温度
その星と他の星の間の距離
そんな話になって
ついに彼女は鬱々としてしまった
ゴール線上で俯きながら
もう歩きたくないと言う彼女を
数多の白々しいとも思える言葉で包んで
ゴール線上の彼女を
サングラスの内側に涙
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