創書日和「星」/虹村 凌
に涙がたまって
星が滲んで幾重にも見える
ゴール線上で俯く彼女は
生きるのが苦しくて辛くて
果たせない約束が辛くて重たくて
足を引きずりながら
自分のゴールネットに身を預ける勇気と機会を窺っている
サングラスの内側に涙がたまって
星が滲んで降ってくるように見える
外は春の雨が止んで
僕は部屋で一人ぼっち
夏を告げる雨は止んで
扇風機はずっと部屋を撫でている
僕は彼女めがけてボールを蹴る事が出来ずに
彼女はそれを眺めながら
ゴール線上でするりと眠りに落ちた
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