創書日和「砂」 ないものねだり/
士狼(銀)
蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨
現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど
安らぎは
もっとずっと
遠かった
求めたものと
与えられたものと
砂粒みたいに
隙間から零れていくものと
座礁して
初めて気がついて
泣けば泣くほど
心は枯れていって
本当は
知らないふりを
していただけで
誰かに甘えたいだけだった
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