創書日和「淡」 蒸発看板/大村 浩一
 
彼女のソックスの白さだとか


(忘れたいことがどうにも多くて
 思い出さない様にしていたから
 きっと記憶を引き出す網がぼろぼろになって
 離れ小島のように余計なことばかり
 浮き出して来るんだろ)

(それにしたって音響やら画像やら
 こんなテクニカラーの情報が詰まっていては
 どんなに大容量のメモリーだって
 具合いが悪くなるのは当然だ
 ついでに言えば
 いまどきテクニカラーなんて年寄りでも言わない)


時の経つのも忘れ
竜宮城で楽しい日々
ふり返れば
ずいぶん長い春だった
ということになるんだろ
誰でも実際には数日から5〜6年
長くてもせい
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