記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
銭形のとっつぁんが叫んでいた。


 嘉人の彼女を初めてみた。以前、彼が似顔絵を描いた事があるが…似てなかった。
別に嘉人の絵が下手なんじゃない、美化し過ぎていただけだ。
嘉人は漫画書きで、年中色んな漫画を書いている。いるよなこういうヤツ、何処にでも。
彼女の名前は、明村 舞子と言う。舞子、と言う名をこの時初めて知る事になる。
正確には、本名を知ったと言う事になると思う。愛称だけは聞いていた。
彼女が来た途端、嘉人は舞子にべったりで、俺は庵と並んで歩いてるしかない。

 喫茶店の二階席で、4人して茶を飲む事になった。
舞子の対面に嘉人、その隣に庵、庵の対面は俺、と言う座り方に
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