記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
。
どんな風に返したかも覚えていないが、喧嘩腰で返した記憶がある。
そんな嘉人を、二人で笑ってた記憶が、微かにある。非道だな、俺。
飯屋を出た彼女は、階段で何度か躓き、信号で大きく躓いた。
彼女曰く
「感じている」
んだそうだ。男の俺には、よくわからないが、そういう事らしい。
手ゴメにするなら今だぜ…と彼女に暗に言われているのに、俺は手を出せない。
女性恐怖症である。凄い恐怖症である。何よりも恐怖なんである。
未知の生物に触れるようなモノだと思ってくれればいい。
駅前での別れ際、よっぽどキスしたい衝動に駆られたが、押さえた。
友人の女に、そこまで手は出せない…と言う謎の
[次のページ]
前 次 グループ"記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」"
編 削 Point(3)