記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
、彼女は俺に興味があったと言う。
どれくらいかと言えば、嘉人との行為の最中に、俺の詩をソラで頭の中で思い出せる…
くらいだそうだ。嘉人にしてみれば、随分な話だと思う。
だが、俺にしてみれば、彼氏よりも俺の詩を選んだと言う事は、
俺は勝利の片鱗を掴んだ事を意味する。
愛の表現のひとつである、セックスの最中において、他人の愛の言葉を思い出す。
嘉人の、敗北だ。



 しばらくして、俺たちは飯を喰いに言った。
舞子の予定上、時間は限られている。なるべく無駄な時間は過ごさないのが得策だ。
半地下のスパゲッティ屋は、俺が美術学校の予備校に通ってた頃に行った店で、
昼間はソフトドリ
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