記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
俺はそわそわしながら待っていた。端から見ても、すぐにバレるだろう。
記憶が正しければ、彼女は遅刻してきたと思う。
その前に、嘉人を交えて会った時は、嘉人が遅刻して来たのも覚えている。
俺が待ち合わせに遅刻すると言うのは、結構珍しい事だ。
そして遅刻する時は、かなり激しい遅刻になる。
またも話が逸れた。日曜の朝の新宿は、いつもと違ってやや閑散としている。
それにしたって、沢山の人が歩き、車が走っている。
舞子は、ジーンズ生地のロングスカートを穿いてやってきたのを覚えている。
彼女はその頃、既に俺に興味があると告げていた…と言っておくべきだった。
メールの遣り取りが頻繁になり、距離
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