記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
夢を見た事がある。
俺は悔しくて泣いた。
雨にそこまで反応してしまう自分自身が、情けなくて、悔しくて、泣いた。
とにかく、梅雨があけるまで、雨ばかりだったと思う。
梅雨前線が東京を越え、北上して行く頃には、もう夏の匂い。
千歳烏山で会ったのを覚えている。何処だかでカレーと食べた舞子。
俺は何を食べた?覚えていない。俺は何を食べたんだ?
覚えているのは、君が家にいる母親を疎ましくおもっていた事。
彼女の母親は、本来なら家を出て学会に向かっている筈の時間。
それでも、原稿が終わらず、ギリギリまで書いているとの事。
俺の帰省時間も迫っている、
結局、その日は彼女の家に行く事が出
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