記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
ち。
夏を告げる雨は降って、僕は部屋で一人ぼっち。」
TheBlueHeartsの真島氏の歌詞であるが、
この歌詞がこんなにも頭から離れないのは、
その時の状況が、あまりにも重なり過ぎるからだあろう。
俺は一人ぼっちだった。
舞子はなかなかこっちを向いてくれない。
彼女が見ているのは、俺じゃない。「憂治 誡」なのだ。
詩を書く「憂治 誡」なのだ。悔しいじゃないか、それは俺だというのに。
いや、違うのだ。
違う。
それに気付けなかった、俺の、敗北。
俺達が会う日は、大抵雨が降っていた。
五月、六月。雨ばかりだった。何時も雨だった。
3年ほど前に、雨の降る朝に舞子の夢を
[次のページ]
前 次 グループ"記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」"
編 削 Point(0)