記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
ているし、何処かに書くべきじゃないと思う。
いや、いつしか書く事があるだろう。
なんらかの形で発表する事があろう。
その時に、これを覚えていたら、それは本当に俺が吐いた、信じがたい台詞だ。
その後、私達は仙川駅で向かった。俺が通っていた小学校に行った気がする。
大きく見えたものが、小さく見えるのは、セックスをしたからではあるまい。
仙川駅周辺は、もう大きく変わってしまっていて、随分と賑やかになってしまった。
昔の雰囲気、俺は凄く好きだったのにね。
俺は広場の近くで腰を下ろして、たこ焼を食べていた気がする。
一口茶屋の、たこ焼だと思う。一緒に食べた。
雨が降り始めた気がする。そうして、帰った気がする。
その日、俺は侑子に電話したと思う。舞子を抱いた事を伝えるために。
俺は泣いていた。咽び泣いていた。後悔していた。
侑子を巻き込んだ事を。
それも半ば計画的に、彼女が激しく傷つくことをわかっていながら。
彼女は冷静に、俺を見下したように電話を切った。
彼女の友人に聞いたところでは、侑子は一週間ほど、拒食状態に陥ったそうだ。
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