記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
れでも汗が噴き出る。袖で汗を拭いながら、煙草に火をつけた。
バニラの香りが広がる。ブラックストーンを一口ふかす。
「何処だ…」
 俺は迷っていた。地図を見てもわからない。
三鷹駅と河合塾を2往復したが、何処かわからない。
俺がどの地点にいるかわからない。
2往復半して、三鷹駅に向かった時、友人の姿を見つけた。
 ひょろひょろとした体型、このクソ暑いのに長袖、長い髪。
見間違える筈が無い。池上 庵だ。俺は走って庵に近づいた。


 彼のスペースは冷房が効いていて、とても涼しかった。
既に絵の展示はされていて、あとは装飾をするだけだ、と庵は言った。
包帯と絆創膏を、壁に貼った
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