小さな命/ajisai
ある雪の降る寒い夜
教会の前に小さな赤子が捨てられていた
あまりの寒さに弱っているのか
泣きもせずただ震えている
そこへふわりと死神の少年が舞い下りてきた
寒そうに震える赤子をじっと見つめている
通りかかる人はいるが見ない振りをして
皆、通り過ぎていってしまう
この村は一年中寒くて貧弱な土地
貧しい暮らしの人ばかり
とても他人の面倒まで見る余裕はないのだ
死神は黒猫へと変身した
赤子の頬を舌で舐め
側に身を寄せてくっついてやる
ほんのりとした温かさが伝わって
赤子の震えが少し治まったようだ
夜が明け朝の光が仄かに光り始めた
赤子は一つゆっくりと白い息を
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