萩尾望都私論その8 私の赤い星4「生むヨダカ」/佐々宝砂
 
というよりセイは単に子どもなのである――のちにまた触れるが)。もっとも古い赤色螢星ネクラ・パスタに行ってみよう、と提案をする。母恋がルーツ探しに変わっただけのことで、セイが求めるものはいつも同じだ。自分の根。自分の存在を肯定してくれるなにものか。生まれてきた意味。『百億の昼と千億の夜』に出てきた方法を思い出させる方法で、セイとエルグはネクラ・パスタにテレポートする。だがセイは、古い惑星のマイナスの共振につかまり、思念を浮遊させているあいだに身体を攻撃されてしまう。つまりセイは、精神だけがあって身体のない存在になってしまったわけだ。しかし、何もないかに見える思念の海で、身体のないセイと、死者を追って
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