萩尾望都私論その8 私の赤い星4「生むヨダカ」/佐々宝砂
ってきたヨダカが再会する。ヨダカは百黒老の呼びかけに気付き、自分の身体を見つける。思念だけのヨダカは、思念だけのセイをつかまえていう、
「小さくおなり…セイ!(略) 手伝って ぼくは少しだけからだをかえればいい その変化はわずかのエネルギーで足りる 子どもを生む女の身体に… きみは あとで新しく生まれればいい」
そんなこんなで、こんなんありか!というくらいにいともたやすくヨダカは女(しかも胎児になったセイを妊娠している)になってしまうのだった。それでヨダカのアイデンティティが大きく変わったかというと、そんな感じはあまりない。ヨダカはあっけなく女である自分を肯定し、求婚してきたラバーバと即座に結婚し、元から女であったかのように女の服を着て、「ラバーバが助けてくれる」などとのろけまで言うのである。こいつほんとに男か! いや今は女か。ヨダカは男だったことがあったのだろうか。謎である。この謎は、『スター・レッド』を読むだけでは解けない。
というわけで、まだ続く。
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