詩片H ?/土田
 
いは心地よくこわれてゆきます

10
とじたままの蕾みのなかに
人差し指でそっとなでて
もっと静かになれと
ぼくはちいさな呪文をとなえる
言葉を使わないから
死んでゆくのは
きみのわがままだけだ
駅につくのはいつも
ぼくが先で
店を出るのはいつも
きみが先で
すなおになれると
いますぐ笑えると
誰かの歌詞に
ぼくはちいさな呪文をとなえる
もっとかい
もっともっとかい

11
あいかわらず
ぼくには奇跡が降ってこない
三九七枚のひめごと
きみは文字で繋ぎとめられ
せかいはいまも
じゅうぶんに
照らされ続けている
しろくしろく
あおじろく

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   グループ"いつかもしかしたらたぶんお花さんになるかも知れない便所の誰かの携帯電話番号みたいなワクワク感と臆病感"
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