詩片H ?/土田
まれてはじめて
せかいに触れてしまいました
万華鏡はきれいかい?
影の雨水がしたたりおちて
腰のくびれをさかいに
くるくるくるくるとまわってゆきます
ほっぺを紅潮させて
浅瀬であそぶ魚の呼吸を身につけて
じゅじゅじゅと蒸発しそうになって
声にならない声ではなく
声になりすぎた声を
だれも聞いてはくれません
あの子は
悩ましい詩に黄昏て
うまれてはじめて
せかいに触れてしまいました
万華鏡はきれいかい?
とてもとてもとても
つき破ったのは他でもない
あの子のせかいでした
とてもとてもとても
立てなくなって
見られなくなって
とてもとてもとても
せかいは
[次のページ]
前 次 グループ"いつかもしかしたらたぶんお花さんになるかも知れない便所の誰かの携帯電話番号みたいなワクワク感と臆病感"
編 削 Point(1)