詩片H ?/土田
 

たいせつな時計をなくしてしまって
それからいつも二十三時に
呂律が回らなくなる
パソコンを落とすときの
終わりだよみたいな音が
むかしむかしの母親の隠し事に似ている
ことばを犯そうと
そっとあなたのワイシャツを握る
ひんやりとした血の唄みたいな
粗削りで角ばったものが押しよせてくる
どんどん食べられてゆく
だんだんなくなってゆく
ぜんぜん痛くもないのに
なんにも恐くもないのに
こんなに受けいれているのに
呂律が回らない
だからせめて綺麗に食べてね
明日になってしまったら
また賞味期限が延びてしまうから

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月の齢を見つめながら
三原色の空気を吸って
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