7.廃墟の住人/朽木 裕
 
あかい爪から夕焼けにじむ
嗚呼、もう満ちてしまうから

呼吸をひとつ
決して後ろをみないこと
怖いと思えば取り込まれる
気を強く持つこと

廃墟には人ならぬものが住む
見えないからいないのではない
彼らは確かに存在している

いいものもいれば悪いのもある
気丈に振舞うこと
建物には敬いを忘れないこと
写真を撮る前と後には一礼すること

後悔するならしないこと。

…それだけ分かっていながら私は偶に禁忌を犯す。
「いれもの」をどんなに愛でても「なかみ」がどうしようもなく
悪くて腐った奴ならばどうしようもない。
どれだけ気丈に振舞っても敬い筋を通しても

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