異形の詩歴書 14歳春/佐々宝砂
 
んどを、私は今もそらんじている。もう口に出すのも気恥ずかしいそれらの歌を、14歳の私は熱烈に好きだと思った。本当にそう思った。

 同級生たちは、たのきんがどうとかこうとか言っていたけれど、そんなもの、私にはどうでもよかった。私にとって大切なのは、本と、音楽と、わずかな友人だけだった。私はブラスバンドに入っていて、音楽聴くならクラシックさ、好きなのはドボルザークとシベリウス、などとほざく可愛いげのない生徒だった(こんなガキはぶちのめしておいた方がいい)。ことさらにいじめられはしなかったが、先生からも生徒からも嫌われていたのではないかと思う。

 新川和江の詩にはじめて出逢ったのは、そん
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