異形の詩歴書 14歳秋/佐々宝砂
 
の詩について何を書くとしても、それは下手な恋文にしかならない。「事物のフォークロア」の最後に出てくる「たとえ/約束の場所で会うための最後の橋が焼け落ちたとしても」というフレーズは、死ぬまで私の中で響き続けるだろう。

 私は、寺山修司のコトバに従って、「消されたものが存在する」で並べられた素っ気ない50音から自分の名を消した。だから私は約束の場所で寺山修司に出逢うのだ。いつかきっと。「消されたものが存在する」のコトバに影響されたひとはすべて、イデオロギーだの趣味だの嗜好だのを越えて、同じ場所で出逢うのだと私は信じている。そうだよ、たとえ、最後の橋が焼け落ちたとしても。いつかきっと。


2001.3.27.(初出 Poenique/シナプス)
   グループ"異形の詩歴書"
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