異形の詩歴書 高校編その2/佐々宝砂
有名人を見ても特に何も感想はなし。好きな男がいりゃあそれでもその男の好みに合わせようとしたかもしれないが、そんな相手もいなかった。意外に思われるかもしれないが、私は、本の中に自分の憧れを見つけることもできなかった。こんな恋がしたいと思わせてくれる本もどこにもなかった。そもそも恋なんてめんどくさい気がして、したくなかった。ところがどっこい、高一の春、私にも一応のロールモデルがあらわれたのである。
それはなんと高校の国語教師だった。この学校嫌いの、教師嫌いの私が、教師に憧れる? なんてこったと当時でさえ思った(今もそう思う)。彼女はお世辞にも美人ではなく、優しくもなく、つんけんとした30代の
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