異形の詩歴書 高校編その3/佐々宝砂
されたとき、私はほんとに熱狂的に新井素子の物語が好きだと思ったけれど、ちょっとびっくりもした。新井素子的な「あたし……なんです」という女性一人称口語体の文章は、宇能鴻一郎の専売特許だと思っていたので(ここは笑っていい)、自分が日記に書いてるような文章で小説を書いてもいいのだということを知って、かなり、おどろいた。同じころ(か、ちょっとあと)、岬兄悟の『瞑想者の肖像』がハヤカワ文庫から出て、私はほんとーに熱烈に岬兄悟の不条理なアイデアが好きだと思った。けれど、巧いとは思わなかった。それどころか、ヘタな小説だと思った。
それでも、1981年13歳の私はまだ素直に「面白いなー」と思って読んでいた
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