近代詩再読 草野心平/岡部淳太郎
 
しい。
うれしいからなんだよ。
そうかしら。
そうだよ。きっと。

  (みず。もやもやもや)

きみ。ひとりぼっち?
え?
わかんないなぼく。
ぼくはひとりらしいな。
どうかしらあたしは。

  (みず。もやもやもや)

ちがうよ。
みんなぼくたち。
いっしょだもん。
ぼくたち。
まるまるそだってゆく。
まるまる。
ぼくたちそだってゆく。

  (みず。もやもやもや)

(「おたまじゃくしたち四五匹」より)

 さて、草野心平といえば、蛙の詩の他にも自然の雄大さを謳った数多くの詩がある。『富士山』や「劫初からの時間の
[次のページ]
  グループ"近代詩再読"
   Point(10)