近代詩再読 草野心平/岡部淳太郎
が、少年は人間であり、蛙は人間に対しては初めから無力である。そこで蛙たちが取った行動は、逃げるのでも立ち向かうのでもなく、ただひたすら敵を笑うことだったのだ。少年が下半身をさらしたいかに無防備で滑稽な姿でいるか、その「ちんぽ」が「曲つティる」ことを指摘することによって、少年よりも優位な立場に立とうとしているのだ。かなりうがった見方かもしれないが、こうして裏を読んでみるのも面白いと思う。
この詩以外にも、蛙の詩には面白いものが多い。タイトルの後にやや大きめの黒丸が描いてあるだけの有名な「冬眠」という詩など、一種の実験的な詩とも思えるものから、蛙の鳴き声のオノマトペを使った「号外」や、「秋の夜の会
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