近代詩再読 立原道造/岡部淳太郎
な印象がある。それは恐らく、その詩の多くが同じような手法で書かれた抒情詩だからだろう。立原道造の詩は四・四・三・三のソネットが多く、詩人自身がその詩型に愛着を持っていることは明らかだと思う。そうしたひとつの定型ともいえる手法で詩を量産しているため、どこを切っても同じ金太郎飴のような印象が残ってしまう。詩を見せる「ワザ」が少ないため、同じような傾向の詩をつづけて読んでいて感覚が鈍磨してくるのかもしれない。恐らく十篇くらいつづけて読むのなら、問題なくその抒情の中に入ってゆけるのだろう。そういえば、立原道造が生前に刊行した二冊の詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』は、いずれもソネット十篇を収めただけの詩集だ
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