近代詩再読 村野四郎/岡部淳太郎
 
ず、戦後になってその真のすごさを顕わにしたようなところがある。
 だが、とにもかくにも、村野四郎を便宜上「近代詩」の範疇に含めて、なおかつ僕がこの詩人の詩に対して抱く現代性というものはどこにあるのかを探ってみたいと思う。


僕には愛がない
僕は権力を持たぬ
白い襯衣の中の個だ
僕は解体し、構成する
地平線がきて僕に交叉(まじわ)る

僕は周囲を無視する
しかも外界は整列するのだ
僕の咽喉は笛だ
僕の命令は音だ

僕は柔い掌をひるがえし
深呼吸する
このとき
僕の形へ挿される一輪の薔薇

(「体操」全行)


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