存在/岡部淳太郎
でもかまわない
赤々と いつまでも燃える主張の炎を
凝視せよ
信者の道へと至るために
黒と白のおまけ
空白の字引
その延長線上の小石に
つまずけ
夏を区切る横断歩道
冬を仕切るマンホール
その中で諸行無常の 理(ことわり)に
うなずいて
夜に点る
確かな微かな個の光を
慈しめ
古い
契約とともに生まれた人間自身を
掘り起こせ
そのものは息づいている
存在は
常に確かめられることを欲している
そのものは話しかけている
君に
腸が破れる
そのものは飛び出す
存在は
存在として確かに在る
存在としての恐怖で 時を包囲する
連作「夜、幽霊がすべっていった……」
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