悪夢とビニール・ジャングル/岡部淳太郎
られている
その間ずっと 時計は止まっている
馬 夜の馬
長い夜
その窓の向こうで吹く風
(どこから吹く どこに吹く 風)
君は悪夢と癒着して
動けない
眠る
あるいは眠らない
透明な
仮面の群集
時計はゆっくりと
思い出のように動き出す
君の顔にはまだ
ビニールがはりついている
君の脳裏にはまだ
悪夢がはりついている
不可能な呼吸を
繰り返して
君は仮面をつけたまま 歩き出す
人々もビニールの仮面のままで 出勤する
ケルベロスやらセイレンやらヒュドラやら
それらの
[次のページ]
前 次 グループ"夜、幽霊がすべっていった……"
編 削 Point(2)