猫たちの肖像画/まどろむ海月
びをあげ、そのままこときれました。
壮大で悲痛な葬儀のあと、王子の死の原因と心の秘密を知るものは、
聡明な王女だけでした。王女もまた、自分たちの不幸を嘆きみるみる
衰弱して、わずか数週間の後に命の炎を消しました。国中がかってな
い深い深い悲しみの淵に沈みました。
二人が亡くなってまもなく、世にも美しい一匹の白い猫が姿を現し
ました。こうしてお城で仲よくたわむれる二匹の美猫は、やがて二人
の死を悼む人々によって、まさに二人の生まれかわりのように愛され、
大事に養われることになったのです。
さて画家の話。絵筆をとらなくなってから久しいあの偉大な画家は、
[次のページ]
前 次 グループ"猫たちの肖像画"
編 削 Point(7)