エスパーと雨/nm6
に引き摺られてグレーになる。僕らの周りには数がいくつなのかという問題とそうでない問題とがあって、それでもとにかく通過していく。看板が「ぼくら、ぼくら」と話しかけてきて、君ならば狂おしい偏頭痛を起こすところだけれど、ぼくは平気だ。なにも立ちのぼらない煙突を、火のないところの煙突を、ゆっくり見ていたいけれど、スピード。はためく洗濯物はよく見る外国の写真で、窓ガラスにこびりつく水滴が「ぼくら、ぼくら」と話しかけてきて、で、跡。
蒸し暑いのは、外側もオレンジなら。放送の訛りで失笑の女子高生と、咳払うネクタイの中年と、貧乏ゆするヘッドフォンの男子中学生と、バランス感覚を競う日能研の小学生。到着すれ
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