裂け目から/nm6
告げないか。だってもう、いらない声ばかりで。細やかさの上を這うように撫でる、君の耳は全ての苛立ちを吸い込んで黙っている。だから「遠く知らない青い空の外国語だよ」。洪水する空気にただ不安でいる。この部屋は数年前のように静かで、張り付いたガムテープの君の痕が壁の裏側で敏感を踏みつけている。注意、ということ。そして愉快なるアナウンスは、ぼくの奥底であれよあれよとすましている。応答せよ。
3.目(花を)
すべきの海岸が眼前に広がる。波立つ白さが、はしゃぐという遠い記憶にとても似ている。されどの山頂では、涼しげな声がこだまを発そうとしている。イメージする、抽象。「ぼくらの東京の喪失のない
[次のページ]
前 次 グループ"自薦詩集"
編 削 Point(12)