裂け目から/nm6
 
ないところから花、咲いたの。見た?しゃがれた臆病がドレスを着て人ごみをラヴして、」「ラヴ?それってほんとに見た?」また明日になれば、総体としての会話は海岸に山頂に、転ばぬ先に溶けていく。風景としての嗅覚。そんな「なんでも色彩にするマジックなんで」ってさ。



4.鼻(たしかめる)

泣く。
きみが、ここで、喉元に髪。テクスチュア。
そして薄びれた胸元でたしかめる、オブジェクト。
ただ、いま、ここにいない。



5.雨(やんだよ)

聞こえないよ、ほら。薄いバラ色の酸素が、そして似たような色の二酸化炭素が。ぼくらはふたたび、夜の街へ溶けていく。どうやらそれは動いている。ただ隙だらけな口先が尖っていて、三日月だった。アナウンスは、ぼくの奥底ですましている。また明日になれば、総体としての会話は海岸に山頂に、転ばぬ先に溶けていく。ならばドラマティックに、できるかぎりドラマティックに。


雨がやんで、すべて忘れた。
ただ、地球の、いい匂いがするの。
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