私は何故年末に紅白ではなく第九を観てしまうのか。/和泉 誠
 


私はすぐさま第九を私はCDショップで購入して
ヘッドフォンをつけて大音量で流しながら毎晩寝ることにしました。
そうしなければ色々嫌な事が浮かんでしまうからだった気がします。
当時の私には辛いことしか身の回りになかった。
だから当時の私には第九だけが心の支え、
生きている事の喜びを信じさせる歌であり、
私は歌われている美しい世界をただひたすら信じて、
振り落とされないようにこの世界に必死でしがみついていました。
鼓膜をどんどんと打ちつけるような打楽器の音
頭を焦がすように高く鋭い弦楽器の音
一時の安らぎを与える柔らかな管楽器の演奏
そして頭の中を真っ白にする最後の合唱
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