かなしい夏/塔野夏子
 
かなしい夏 ?


夏の首すじが
眩しい

何もすることのない午後

空気さえ発光している

しなやかな夏のゆびさきが
飽きもせずあやとりしてる

夏はあの木立のてっぺんあたりで
太陽に唇を盗まれる



かなしい夏 ?


秘密の庭
したたるような緑の
茂みの陰で
夏は誰かと
逢瀬を重ねる

そんな昼下り
時はいつも
だから
オレンジ・マーマレイド色に
なってしまう



かなしい夏 ?


しなやかな夏のゆびさきが
飽きもせずあやとりしてる

嵐の雲 ひとつ

太陽が機嫌をそこねたみたいに
光線のぐあいがち
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