メトロン星人(怪獣詩集)/角田寿星
 
 
副題:狙われた街/狙われない街


こんな日はめったにないけど

たとえば
なにもかもが真っ赤に染まる絵のような夕焼けの日

空は思いのほかよごれてしまって
あるいは記憶のなかの夕焼けとどこかちがっていて
こんな日はほんとうにめったにないけど

そんな見事な夕焼けの真ん中で
すきとおるように立っている虹色の何かがいたら
それはメトロン星人なのだ と
あきおさんが教えてくれた

そんな日はタバコを喫ってはいけない
タバコに仕込まれた毒が頭にまわって
誰かを傷つけたくなる
それはメトロン星人のしわざなのだ と

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