ジャミラ(ウルトラマン)/角田寿星
ジャミラの故郷は地球
のフランスはパリから汽車で三時間
五十歳にして
日々の生活に老け込んでしまった母と
婚礼を間近にひかえた ひとりきりの妹
湖畔の貧しい村にひっそりと住んで
宇宙開発の事故に遭ったジャミラの墓も
そこにあった
水も空気もない星で
身長50メートル 体重1万トン
怪獣の躯体にまでなって
繋いだ生命
ジャミラは見えない円盤に躯体を折り畳んで
人類への復讐に執念を燃やした
りはしなかった
実年齢よりも年老いた母は
涙に曇った眼で両手を差しだし
ジャミラの人差指を頬に寄せた
妹は もうすぐ着ることに
[次のページ]
前 次 グループ"怪獣詩集"
編 削 Point(2)