テレスドン(ウルトラマン)/角田寿星
 

ぼくはテレスドンをさがし続けた
苔 水晶 カンラン石
石筍 鉱山跡 永久凍土

地上の友だちが見つけてくれた
テレスドンは
目も虚ろで クチバシはぼろぼろ
見事な鳶色の肌はすっかり汚されて
「たたかいによわく
 かったことが ない
信じられない解説のおまけ付き
だった
テレスドンは死んだ
テレスドンは死んだんだ
ぼくは
テレスドンを
忘れた
絶対にわす れない
テレ スドンのきお くはぼくの
こころのお くにのこった
たった ひとつ の たから も


(冬の霧吹山は夜になると
 冷気が貼りついて月明かりさえ届かない。
 いちめんの雲母の闇。消え入るように歩く大きな翳は
 大怪獣 デットンだ。
 赤黒い血がこびりついた ぼろぼろの背中に
 ちいさな地底人の子どもを載せて。
 眠っているのか デットンの背中に頬を埋め
 微笑んでいる 退化した眼 土色の頬 泪の痕。
 音もなく霧のむこうに去っていった
 という。

   グループ"怪獣詩集"
   Point(2)