宮沢賢治の詩メモ/石川和広
鬼言(幻聴)」は傷ましくもあり、露悪的であるようにも思う。
三十六号!
左の眼は三!
右の眼は六!
班石をつかってやれ
(春と修羅二集より)
その前の「岩手軽便鉄道七月(ジャズ)」がジャズである。これは、賢治の一種の美しい鎮魂が終わっていくよに、悲しく「最後の下り列車である」で終わる。
ここには「第三集」に至る地上的汚れへの失墜、地べたからの詩を書く決意が秘められているようである。
「鬼言(幻聴)」は班石(ぶちいし)で、目を潰せ!というまさに「幻聴」の詩なのだけど。
ここまで病気を押し出されると「参りました」の見事さで、三と六で、さぶろうと読めたりして、音韻とし
[次のページ]
前 グループ"宮沢賢治の詩メモ"
編 削 Point(10)