あのことを/ふるる
何度も言いかけてはやめてしまっていたあのことを
ついに言う時が来た
あなたは苦しむ能力に長けていて
同情を必要とせず
目は見開いて何かを言おうとする
道端に咲く語る草
肩をノックし続ける
私たちは駆け出す
奈落に追い付かれまいと
激しい雨で刺だらけの道行き
映画館まではまだ遠い
前後しながらお互いをかばいながら歩く
お互いの顔も見ないで
すぐにほっとします。
青空に向かい歌い
小首をかしげてありんこを見ることでととのう儀式
付き添いの木は大木になり
枯れ 倒れ 果てた
殺し屋みたいなスーツのあの方は
小さな花を胸に挿して泣くのです
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