あのことを/ふるる
 


日常に慣れて
たまに哀しい事件が起こって
大勢が手を挙げる
語り手を破壊しなければ
何も語りえないのに

だからお前はもう行くといい
平らな朝日のさす場所へ
俺を置いていってもいい
そしてはるか後
思い出せるのはどこまでだろう
ここまで

さあ、今だ。
これからのことは各部屋で待機してる光の臓器たちが教えてくれる
いつもそうだったように?

困った人を見つめる人々の困った顔
それにしてもこの爽やかな風はどこから吹くのだろう
吹かれながら懐かしいレモンの歌
口笛が吹かれる
あまり上手くないけれど

君にぴったりのきれいな白い靴は見つからなかった
どだい僕は君じゃないからさ
心はうつむきながらも
いつしか人が人を無理に出会わせる
出会いが人をあっちこっちへやる奇跡
に乾杯はしない
感謝もしない
肝心なことは知る術もないが
あのことを言おう
君のことが
好きだ

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