とある老人について/虹村 凌
の老人は座れる訳だ。他に老人はいなかった。
だから、俺はそれで良いと思っていた。
優先席シール云々には俺も賛成だ。
優先席じゃなかったらゆずらんでも良いってんじゃない。
何故、彼はそうするべきだと言ったのだろう。
彼はその後、戦時中の話を始めた。
都立大駅直前で、他の老人(座っていた)も参戦し始め、2対1でお話をされた。
あの頃は酷い事をされた、ロシアに連れて行かれて慰安夫にさせられた、
捕虜になった時勤勉さを買われて日本人は生き残った、
今は戦争しかけられて殺されたって仕方ない、等々。
俺としては、歴史なんぞどうでも良い。
俺はアメリカーナに特別な感情は無い。憎しみ
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