とある老人について/虹村 凌
 
しみなんぞ無い。
その老人達は、憎いらしい。そして今の若者が許せないらしい。
よくもまぁ、目のとんがったB-Boy系の格好した若者に説教できたモンだ。
今の時勢を考えてみたら、殺されるかもしれない行動である。
勇気のある老人だと思った。

彼にそこまでの勇気を出させたモノは何か。
俺が席をゆずらなかった(俺が席を立たなかった)と言う事である。
俺は俺の正義に従ったのだが、それは老人の正義には当てはまらなかった。
何でだろう。座れたから良いじゃんか、と俺は説教を聞きながら思っていた。
しかし彼が求めているのは座れた、と言う結果じゃない。
俺が席を立たなかった、と言う課程である。
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