とある老人について/虹村 凌
昨日、友人と飲み会をして、俺は終電間際の電車に乗ったのだった。
東横線渋谷発横浜行き最終(マジ最終は元住吉あたりで止まる)。
あいていた席が優先席だったので、俺は腰掛けた。
目黒あたりで人がどっと乗ってきて、少し混雑し始めた。
俺は自分の隣に鞄を置き、その隣にオッサンが座っている…と言う状態だった。
目黒で老人が乗ってきた。だから俺は鞄をどけたのだ。
ところが、その老人は、その行動に疑問を感じたらしい。
彼は、俺が席を立つべきだと言う。
挙げ句の果てに、「優先席」等と言うシールが貼ってあるのは、恥さらしだと言う。
俺は俺の正義(道徳)に従って、鞄をどけた。
それでその老
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