半ライス大盛りでお願いします/虹村 凌
何かが変わりそうで
何かがわかりそうな夜に
お金の無い僕は空腹で死にそう
でも半ライスを買える余裕のお金しか無かった
半ライスとラーメンだけ
店員さんは怪訝な目でこちらを見て
店長さんは後ろを向いて肩を震わせている
僕は下を向いて黙っていた
ラーメンを食べ終わった後の一服は
何よりも美味しいと思う
煙と僕が暗い夜の帳の中へ歩き出す
地面を蹴る音が
街の喧噪の中でも鮮明に聞こえる
「半ライス大盛りでお願いします」
街中が僕を笑っている気がして
僕は耳を塞いで走り出した
何だかわかんない内に
暗闇で誰かに刺されたみたいだ
真っ暗で何も見えない
おまけに雨ま
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