半ライス大盛りでお願いします/虹村 凌
雨まで降ってきた
何にも見えない
なのに不思議と恐くない
あぁ食い逃げしてりゃ良かった
ラーメンとライス大盛り
それと餃子
トッピングも楽しめば良かった
「半ライス大盛りでお願いします」
それが最後の言葉になるのかな
もっと人と話をすればよかった
不思議と頭は鮮明で
雨が降る音が良く聞こえる
誰かの足音が遠ざかっていくけれど
きっとあれは僕を刺したヤツだろう
憎しみが湧かないのは
僕が天国への階段を上っている事を
少しずつ実感し始めたからだ
何かが変わりそうで
何かがわかりそうな夜に
僕は天国への階段を上っている
そうだ
こうしよう
天国のラーメン屋さんでも
「半ライス大盛りで」って言うんだ
きっと美味しいご飯が食べられる
練習しなきゃ
半ライス大盛りでお願いします
半ライス大盛りでお願いします
半ライス大盛りでお願いします…
(翌朝、僕の死に顔は満ちあふれている事でしょう。
それではみなさん、さようなら)
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