俺は歩いてゆく。破滅に向かって。/虹村 凌
 
だと思う。
それはね、感情が風化しても。
傷だけは痛いんだ。
根性焼きみたいに、痕は残るんだ。
そして、時々痛むんだ。
古傷。俺は、今でも苦しい時がある。

そして、俺はこれから怯えつづける。
君は、俺を愛してなんかいない って。
そんなのは嘘だって。
ねぇ、君は俺の胸じゃ泣かないんだ。
どんなに近くても。わかってるんだ。
俺は、疑い続ける。信じないんだ。

それでも、初めから疑う事が出来たら。
どんなに楽なんだろう。
俺は突然怯え出すんだ。狂ったように怯える。
嘘なら嘘って言ってくれよ、ってね。
俺も、あいつをそうさせてしまったのか?
白雪、どうなんだい?
[次のページ]
   グループ"「うにいくら丼」"
   Point(3)