猫が異臭を気にして後脚を舐める。勝手口の扉の外には私が腐らせた貝が捨ててある。左手の指と肘とを蚊に食われ右手が痒くて目を覚ましおり
もうひとつ問う。何をもって、私を傷つけた中途半端な欲を相殺する?発展する社会の中で矮小な人格で不器用に私を愛した父を嫌った私は罪を犯していたのか?いたのだ。私は父を抱きしめる前に、足もとに下り許しを請わなければならないだろう。大袈裟ではなく。大袈裟ではなく。夢を果たして七十余年を生き抜いている父に幸いあれ
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