『エンジェルエッグ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
天使のコーラス
大聖堂に響き渡る少年聖歌隊を想わせた
部屋の明かりを落すと
エッグたちは青く明滅した
わたしは陶酔し
意識は天界へと溶け去るのだ
エッグの動画を撮ろうと
スマートフォンに手を延ばすと
数人の友人からメールが来ていた
どれも「無事か」 「生きているか」そんな内容だ
わたしの家の近所で
行方不明者が続出していて
?神隠し?新聞やテレビなどで報じているという
また青白い人魂の群れの目撃談も
ここ数日 いや数週間か
わたしは仕事にも行かずにいた
――いったいなぜ?
エッグが現れてから
まるで取り憑かれたように
ただエッグをぼんやり眺めていたのだ
[次のページ]
前 グループ"卵から始まるはな詩"
編 削 Point(20)